ふれあいママブログ

バービー人形大好きです。魅力を語らせて下さい。エブリスタ(estar.jp)で小説も公開中。ペンネームはmasamiです。大人も子供も楽しめる作品を、特に貧困や格差をテーマに書いてます。

あなたのバービーは、何を語る?⑦中編


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「な…なんで?どうして…そんな風に思うの?」

「もしかしたら…と思って、言ってみただけだ

 なんだよ。でも、否定しなかったね」

「別に。何も入ってない」

「今さら遅いよ。さあ、白状したまえ」

「どうして、バレたのかな」

「なぜ、君が、あのクマに執着するのか、色々

 考えたんだ。でも、どうにもわからなくてね

 あのぬいぐるみは、新品だった。長年、大切

 にしてきて、思い入れがある…という訳じゃ

 なさそうだ。だったら、君はぬいぐるみ・

 コレクターなのか?これも、違う。あのクマ

 は、大量生産品で、ショッピングセンターに

 は、同じ物が山になってる。

 なら、大事な人からの、プレゼントなのか?

 例えば、好きな人からの…とか。だけど、君

 の行動を見ていると、どうもね。それらしく

 ないような…」

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「ひどい!ひどいよ!」

「そんなに叫ぶほど、変なこと言ったかな」

「別に!でも、サンディに言われたくない」

「はい?いつも通り、よくわからないんだが…

 まあ、いいか。

 とにかく、あのタヌキ…違う!クマには、何

 か秘密があるんだ。そうだね?」

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「今は、まだ知らなくていいよ」

「いやいや、ぜひ、知りたいんだけど。

 なにしろ、あのクマ…じゃなかった、タヌキ

 の巣を、探す羽目に陥ってるんだから。

 まさか…違法な物じゃないだろうね」

「しょうがないなあ。見つかったら、中身を

 見せてあげる。でも、サンディだけに、

 特別に見せるんだからね。他の人には、絶対

 絶対、秘密だよ」

「今の段階では、約束はできない。まだ、君は

 質問に答えてないからね。違法な物かどうか

 聞かないと」

「大丈夫、大丈夫」

「良かった。ちなみにメアリー。君は、何が

 違法で、何が合法だか、ちゃんと知っている

 んだろうね?」

「あんまり、詳しくない」

「うーん…」

「悩む事ないよ、サンディ。クマが見つかれば

 全部、解決する事じゃない。明日から、この

 山、一緒に捜索できるよね?いいよね?

 私、山が好きなんだ。涼しいし、緑を見てい

 ると…草木に埋もれていると…悲しみや辛さや

 苦しみも、すうっと消えていくから。

 サンディはどう?」

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「僕も好きだよ。自然の中にいるのは…大好き

 だよ」

「良かった、嬉しい!じゃあ、明日ね!」

「ああ…明日ね」


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翌日…。

 

「彼女は嘘つきだ」

「私、嘘つきじゃないよ」

「君の事じゃない。ヘレンさん…彼女は嘘つき 

 だ。裏山だなんて…ここはK2じゃないか」

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「大袈裟だなあ、なんてことないよ」

「あー!頼むから気をつけてくれ、メアリー!

 こんな崖、落っこちたら大変だよ。骨折は

 免れない」 

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「余裕だよ。ホラホラ、こんな事しちゃう」

「やめなさい、メアリー!怪我するよ」


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「心配性なんだね、サンディ」

「君は下が見えないのか?目が眩む高さなんだ

 ぞ!」

「そう?」

「見なくていい!危ない!」

「喚いてないで、早くおいでよ」

「そう言われても…なかなか…ハアハア」

「遅いなあ。山登り、下手なの?」

「今、下手だとわかったところ」


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「あそこ、なんか怪しくない?タヌキが住んで

 そうな気配」

カモシカ以外…ハアハア…誰も住めないと思う

 けど…ハアハア」

「違う違う、もっと上だよ、崖の頂上」

「頂上まで行くのかい?」

「当然。行かないなら、なんで登ってるのよ」

「まあ、そうだね…」


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「サ…サンディー!」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。この木の根が

 邪魔で…」

「待てないよ!ここまで来ちゃった!高いよ」

「良かったね」

「怖いよー!高いぃ!怖いぃ!動けないぃ!」

「は?はい?今ごろ?今ごろ、なんで怖がる

 の?」


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「いつ怖がったって、いいじゃない!」

「まあね。それはそうだ。そのまま、じっとし

 ておいで。すぐに行くから」

「ヒィーン!」

「馬みたいな声、出さなくても大丈夫だよ。

 ほら、着いたから。手を出して。すぐ上に、

 平らな場所がある。引っ張り上げるよ。

 そら、もう大丈夫、大丈夫」


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「ありがと。やった!サンディと手を繋げた。

 いざとなると、すごい勢いで登れるんだね。

 かっこいい!」

「君って子は…本当は怖がってなかったね」

「うん!」

「コラ!」

「へっちゃらだもん!」

「崖の上で、走らない!」


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「この穴、怪しいと思ったんだけどなあ。何も

 いないね」


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「今日は、もう下山しよう。続きは明日ね」

「えー!もう?」

「日が暮れる前にね。無理は禁物だよ」


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「疲れた?」

「君と違って、おじさんだからね」

「まだ、二十代でしょ」

「たぶん…二十代後半か、三十代前半。そんな

 ところかな」

「どういう事?サンディ、自分の年、わからな

 いの?」

「え?ああ…少し事情があってね。はっきりし 

 ないんだ」

「…まあ、よくある事だよ。気にしないで」

「よくある事ではないだろうけど。確かに 

 あまり気にしてないな」

「明日も絶対に来ようね!」

「見つかるまで、来ようね」

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一週間後…。

「何が裏山だ。ハア…ここはエベレストだ」

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「…。」

「どうしたの、メアリー。珍しく大人しいね」

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「サンディ…」

「疲れたのかい?」

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「お腹、空いちゃった…」

「そう言うだろうと思っていたんだ。オヤツの

 時間だものね」

「恥ずかしいけど、お腹が鳴っちゃう」

「なにも恥ずかしくない。育ち盛りなんだから

 たくさん食べなくちゃ。よし、この崖を登り

 きったら、ピクニックしよう。食べ物、沢山 

 持ってきたよ」

「それで、そんなに大きなリュック、持ってた

 んだね。ああ…サンディ、最高!」

「ちょ…速すぎるよ、待ってくれ」

「早く、早く!私の手につかまって!」f:id:fureaimama:20210620115735j:image

「サンディ。私、今、すごく幸せ」

「そうだね。風が吹き抜ける度に、木漏れ日が

 チラチラ…きれいだね。草の香りも甘やかで

 本当に気持ちいいね…」


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「うーん…あ…あれ?まずい、ついウトウトして

 しまった。メアリー?わっ!」

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「突然、登場しないでくれたまえ。

 至近距離で驚いたよ。ごめんね。長く眠って

 いたかな?」

「うえーん!」

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「ど、どうしたの?なんで、泣くんだい?

 何か怖い事でもあった?」

「違うぅ!」

「違うんだ…じゃあ、淋しかったのかい?」

「ちーがーうー!びえーん!」

「ああ…それも違う…」

「サンディ…ちょっとだけ、抱っこして」

「いいとも、おいで。かわいそうに、どうした

 んだい…よしよし…」

「ごめんね、サンディ」

「なぜ、謝るの?」

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「振り回しちゃって、ごめん。今日は必ず、

 クマが見つかるよ。約束する。

 そうしたら、もう、私に付き合わなくてすむ

 から。ごめん、ごめんなさい!」

「謝らなくていいんだよ。それは僕だって、

 最初は面食らったさ。それは認める。

 けれど、君と過ごしている時間はね、本当に

 楽しいんだよ、メアリー。今日だってね。

 だから、いいんだよ」

「本当に?楽しい?」

「クマの中に、何が入っていようともね」

「クマの中身を見たら、きっと怒るよ」  

「かもしれないな。それでも、楽しかった事実

 が変わるわけじゃない」

「そうだね。こっちに来て、サンディ。まっす

 ぐこの先に、クマがある気がする」

「なぜ、わかるんだい?」

「もうすぐ見つかるべき時だから」

「???」

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「ほら、あったよ、サンディ!」

「また、なんて所にひっかかってるんだ!崖ば

 かり、なぜ、あるんだ?」

「やっと見つけたね!」

「君は知っていたみたいだけどね。喜ぶのは

 まだ早い。下までどれくらいの高さがある 

 ことやら…。僕が行くから、君はここで

 待っているんだ…って、メアリー!」

「大丈夫、大丈夫。私、木登り上手だもん」

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「ああ…もう…気をつけてくれよ、メアリー」

「取れた!」

「ああ…そ…それは、おめでとう…」
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「やったあ!」

「すごいね、メアリー。君の運動神経は、大し

 たものだ。悪巧みの方もね」

「悪巧みなんか、しないもん」

「それはどうかな。ここにあることが、わかっ

 ていたんだよね。どういう事か、説明願いた

 いな」

「どうしようかな…」

「…」

「わかったってば。恐い顔もかっこいいから、

 もう少し見ていたいけど…」

「中を見せたまえ」

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「ドキドキしちゃうんだもの」

「僕もドキドキしてるんだよ、メアリー。何が

 なんだか、さっぱりわからないんだから」

「ちゃんと、カッター持ってきたよ。今、クマ

 のお腹を開けるから…でも、どうしよう?

 中身みても、イラッとしないでね」

「早く見せてくれないと、今、イラッとくるか

 もしれないよ」

「ジャジャーン!これが中身」

「これは…な…な…何?」

「開いてみて!」

「な…何がなんだか…」

 

 

後編に続きます。


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